猫が10匹もいると、猫にありがちな、

「出たいーこのドア開けてー」(もちろん閉めない)

「入りたいーこのドア開けてー」(もちろん閉めない)

は、とんでもない手間と化す。



けっこう早い段階で限界がきた我が家は、出費は覚悟の上で家じゅうの主要ドアにはほぼすべて“猫扉”を取り付けた。



うちのはこんな感じ。

掃除はしにくい構造。

うん、コレ思いっきり言い訳。



押すと、真ん中で折れて下半分はぶらぶらしてる。



黒い横長のやつは磁石。

パカパカ部分の下にもついてて、これがくっついてぴったり閉まる仕組み。



この猫扉のおかげで、どこもかしこも猫出入りし放題。

でもこれが、

びっくりするほど正解だった。



猫って、教えられなくてもちゃんと猫扉を通ることを初めて知った。

うちに来た頃は扉を開ける体重が足りなかった、ふうたもトムもちーも、兄ちゃん姉ちゃん猫が出入りするのを見て、できるようになるまで何度も猫扉に挑戦していた。

子猫の場合は、ドまぐれで頭だけ通っちゃって首つり状態になっちゃうこともあるので注意が必要だけど。

うちの子猫の成長過程でいうなら、階段のぼれるようになるよりも猫扉通れるようになる方が早かったくらいだ。



デメリットは、「今この部屋入っちゃダメ」の難易度があがること。

うちの猫扉には“ふた”がついていて、猫に出入りしてほしくないときはそれを猫扉に差し込めばいい、と言われていた。

いざその時が来て、猫扉にふたを装着してみると、自分たちの通路が塞がれたことを理解できないのか、納得できないのか、むしろそんな勝手は許さんと思ってるのか

へし折って入っていらっしゃった。

けして薄くはないプラスチック製のそのふたを。

ちょっとしつこい性格なだけのごくごく普通の猫が。

ヘッドバットで。



・・・。



結局。

その時はどうしても猫を封鎖しなきゃいけない状態だったので、本意ではないけれどコンパネを使った。

厚さ1800mm、畳1枚分くらいのサイズのやつ。

それを、

人間の扉ごと釘で打ちつけた。

もしコレ突破されたらうちで飼ってるの猫じゃねえ、と思ってたら、コンパネはさすがに突破できなかった模様。

おかげでギリ猫。

ビバ猫扉。


 

 

 
そんな猫扉のおかげで、猫が自由にうろつき放題の我が家。

そんなゆるゆるでも、“猫NGゾーン”はもちろんある。



トイレお風呂キッチン、の3つ。



平たく言えば、“水”“火”

何かあった時には命にかかわる場所。

ただ、トイレとお風呂には猫扉をもちろんつけていないので、人間が出る時に、きちんと扉を閉めれば問題ない。

問題なのは、キッチン。

この上は、水、火、刃物、おいしいもの、と、

猫にとって「そそられるけど超危ねえ」場所

何か上手に囲えたり、猫の手が届かないようにできればいいけれど、広範囲すぎて難しい。

仕方ないので、ここだけは、のるたびにきつく叱ってきた。



なのに、



なんかいる。



寛いでる。



今日は秋晴れで暑かったから冷たいシンクで涼んでるのかー。

ちーちゃん意外と賢ーい。

・・・ってバカ!



何やってんの!

そこのっちゃダメだって何十回も言ったよね!

そこは危ないの!

あ ぶ な い の !

いいからさっさとおりなさい。



にゃ、にゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛---!!!



お り な さ い。


 

 
迫力負けしたのはもちろんちー。

わずかな抵抗は彼の全力だったらしく、



すごすご立ち上がる。

それを見て、はなもキッチンを背にし歩き出す。



いくらちーがちょっとおバカでも、今叱られてるのはちゃんとわかってる。

ホントにバカなんだからあいつは。

でもバカな子ほどかわいいのも事実なんだよね。

ちょっとデブだけど。

最近足音どすどすうるさいけど。



・・・。



そういや、ちーが床に飛び降りた音ってしたか?



気になって振り向けば、



嵐は去ったともっと寛いでた。



ちーのおかげで、兄ちゃん姉ちゃん猫たちがいかに賢かったか実感した。