前のお話はこちら
 小さな白三毛野良猫物語。ーすべては彼女が壁の中に落ちたことから始まったー壁破壊で救出するぜ編
 小さな白三毛野良猫物語。ーすべては彼女が壁の中に落ちたことから始まったー悪いのは目とサイズと後ろ足編

※これはまだ拾われた直後のお話です。

ダンボールと兄姉猫のおさがりハウスは、あっという間に子猫のお気に入りになった。
隙あらばよちよち歩いて自らベッドにもぐりこみ、せっせと毛布をかき集める。
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だけど、
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目はまだちょっと見えてない。

お目目の行方が自由奔放。

それでもいつでもやる気は十分。
見えないおもちゃにだってちゃんと反応する。
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ほらほら。
猫じゃらし(のなれのはて)だよ。
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なにごと!!

楽しみ方は間違ってる。

とりあえずはこれで大丈夫。
食事もベッドも気に入った。
このまま行けばそのうち体に栄養もまわる。
そしたら今ある問題も解決していくかもしれない。
解決しなくてもマシにはなっていくかもしれない。
だけど、まずはこの子猫のおうちを探さねばならぬ。

手をかけた以上、誰も引き取り手が見つからなければ自分で飼う覚悟はもちろんある。
でも、この子猫がねこもり家に入るのが最良かと言われたら「NO」と即答すると思う。

ひとつは、子猫自身のこと。
ねこもり家に入っても、立場は13番目の末娘。
人が好きで甘えっ子な子猫なのに、愛情は13分の1しかこない。
それならどこかほかのおうちで、たっぷり愛情かけてもらう方が幸せかもしれない。
それに、この子猫はとても器量よし。
基本売れ残った面子が集まっているねこもり家ではありえなかった、「この子なら欲しい人がいるかもしれない」と思わせる可愛さ所持。
里親探しをしても結果が出せる希望がある。

もうひとつは、つっくんとニコの問題児組のこと。
性器の形状に難のあるニコと、頭の出来に難のあるつっくん。
ねこもり家で今一番手のかかっているふたり。
ニコはトイレでおしっこできないし、つっくんは新入り加入が理解できない。
フォローを必要とするふたりに、これ以上負荷をかけていいものか。
そもそもはながケアしきれるのか。
考えるほど不安はつきない。

まーちゃんと相談し、ミドリちゃんと話し、自分でも考え、猫どもの様子を見る。
それで思いだすのは、去年いちニコミラを引き取った後猫飼い人生で初めて感じた「これ以上は無理かもしれない」という自分の限界の記憶だった。

里親募集をしよう。
目一杯いい飼い主さんを探そう。
それでだめなら覚悟を決めて家で飼おう。

腹がくくれればあとは早かった。
里親サイトを調べ、友人に話し、ブログに記事を書き始める。
いつもの病院にもこの子猫は里親を探すつもりだと伝えた。
すると、予期せぬところで縁がつながる。
友人である動物病院の出戻り若先生が、「そういうことならひとり心当たりがある」と当たってくれた相手が、全ての事情を把握したうえで「引き取りたい」と言ってくれたのだ。

壁の中から救出されたこと。
2日間飲まず食わずだったこと。
目がまだよく見えていないこと。
足の動きがおかしいこと。
だけどすごく可愛いこと。
動画を何本も送ってみてくれた結果、ご夫婦で相談して「欲しい」と決断してくれた。
ご職業は、なんと夫婦で「獣医」さん。
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白三毛子猫は、明後日獣医さんのお宅にお嫁入します。

続く。