いつもと何も変わらない朝。

まーちゃんは仕事に行き、はなはベッドでだらだら寝ていた。



ふと、浅い眠りから覚めると、猫の鳴き声が聞こえた。

この声はごまとあじくんだな。

でも、いやに遠くから聞こえる。



いやな予感に跳ね起きた。



廊下の窓に飛びついて外をのぞけば。

案の定、駐車場をうろうろしているあじくんの姿。



脱走だ!



でもどこから?

どこか開いてる?

誰がいない?

出てったのは誰?



焦る気持ちをおさえて、脱走されたことのある窓やドアを見て回る。

同時に、家にいる子を確認していく。

うーちゃん、ライにルナ、まめ、れんね、ちー・・・。



見当たらないのは、

 ぴっくん

 こっちゃん

 あじくん

 ごま

の4匹。



でも、開いてる窓がない。

脱走経路がわからない。

今まで脱走されたことのある窓は全部閉まってた。

それ以外の窓は、格子がはまっててでられないか、網戸がきちんと閉まってるか。

どちらにしろ開けられた形跡はない。



・・・網戸?



まさかと思い、一番最初に見た窓にもう一度駆け寄る。

うちで今朝唯一網戸になっていた腰高窓。

慌てずよく見ると、







網が抜けてる。



ここから出たんだ。


 

 

 
細かい詮索は後にして、脱走者の第2陣を防ぐために窓を閉め、

もう一度家にいる子たちを確認してから、今度は脱走しちゃった子たちを探しに行く。

とりあえず、声のしてた方角に一番近い玄関を開けたら、



ごまが飛び込んできた。

・・・まず1匹目確保。


 

 
脱走した窓と玄関はすぐそばなので、まだ近くにいるかもしれないと、そのまま玄関先で名前を呼んでみる。

すると、すぐ近くから反応がある。

もう一回呼んでみると、



玄関横駐車場からあじくん登場。

・・・抱き上げて2匹目確保。


 

 
あとはぴっくんとこっちゃんの茶トラ兄弟。

この兄弟は紐につながれて庭に出たりもしてるので、慣れ親しんだ庭にいたりしないかと、声をかけながら家の周りを一周してみる。

けど、そんなうまくはいかず玄関まで戻ってきたら、



玄関ポーチに座るぴっくん。

・・・そのまま一緒に家に入り3匹目確保。


 

 

 
ここまでわずか10分の出来事。



もう一周家の周りをまわって、探せそうなところはあらかた見ても、こっちゃんの姿はなし。

一旦家に帰り、待ちの戦法に切り替える。



脱走した3匹は、



毛づくろいして



一息つくごま。



もう眠いから



ほっといてほしいあじくん。



がふがふ水飲んでら



どっと疲れたぴっくん。



・・・変わりなくて何より。
 

 

 

 
問題の網戸を見てみる。



ここの窓。

人が家にいるときは、高確率で網戸にしてある道路側の窓。

猫のお気に入りスポットで、ここから道行く人を見たり、通り抜ける風を感じたりしている。



網戸にしておくときに便利なこの金具。

株式会社川口技研さんの用心ロック。



金具を三角にとめると、網戸を開けるとき引っかかって開かない、というもの。

用心ロックを網戸のサッシに粘着テープでくっつけてあるだけなので、防犯効果はないそうだけど、猫があけようとする力くらいには余裕で勝つ。

うちは、網戸にしておきたい窓には全てこの用心ロックをつけている。

今のところ、これを突破されたことはない。



なので、こんな脱走経路は予想外だ。

網戸は安全だと、完全に過信していた。



端を見ると、網戸をサッシに固定する役割のゴムが切れてるのがわかる。



外側から見ると、もっとわかりやすい。

本来溝部分にはまってなければいけないゴムが全部なくなっている。



雨戸のサッシにその破片がぱらぱらと落ちている。



そのゴムがこれ。

裏側の日の当たらないほうでこの有様。



日が当たってた側はもうぼろぼろ。

ゴムの質感もなくなってる。

つかむとばらばらになるほど劣化してる。



まだぎりぎり溝におさまってる部分もこんな有様。

内側からちょっと力をこめて押せば、押された網戸に引っ張られてこのぼそぼそになったゴムが溝からはずれ、網自体が浮いてしまう。



正常な状態の網とゴム。

違いは歴然。



でも、これで脱走にいたったストーリーは見えてきた。

いつもみたいに、網戸にもたれかかって外を見ていたごまの重みに、網戸のゴムが耐えかねてはじけとび、網が開いてしまった。

そのごまが外に出ていたということは、ごまはたぶん、そのゴムがはずれたタイミングで網戸の隙間から

転げ落ちたんだと思う。

チキンハートゆえ、外なんて絶対行きたくないごまが脱走なんて不思議だと思ってたけど、あの帰り方といい、脱走したくてしたわけじゃなかったんだろうな。

そして、ごまが落ちたことで余計にひらいた網の隙間から、こっちゃんぴっくんあじくんが脱走した、と。

証拠は示せないけど、たぶんきっとほぼ間違いなくそういうことだったんだと思う。

予測できんわそんなもん。
 

 

 

 
まだ脱走したままのこっちゃん。



庭に出てみたり、名前読んでみたり、えさのカリカリを振りながら歩いたり。

結果の出ない時間が続く。

夕方になって、ずっとどんよりしてた空がいよいよ暗くなってきて。

もう最後の手段だと、近くのスーパーに車を走らせた。

取っておきの秘策、

“猫缶をパキュッパキュッ開けながら歩く”

を実行に移すべく、モンプチのジューシーチキンの粗挽き仕立て他を大人買いして帰宅すると、



玄関にギャン鳴きのこっちゃん。

・・・最後の1匹無事に捕獲。


 

 
はなはこっちゃんの帰宅の喜びを分かち合いたいのに、



こっちゃんは飯まっしぐら。
 

 
れんねとごまたんはそんなこっちゃんのにおいを嗅ぎまくり。

半日外にいたにおいは特別なのか。

っていうか、ごまたん自分も一瞬だけ出てたやん。















両サイドからはさみこまれてしつこい嗅ぎっぷり。

こっちゃんは逃げるように違う皿へ移動。



こっちなら落ち着いて食べられるはずが、



今度はちーにロックオンされる。



くんかくんか。



ちゅ。



くんかくんか。



だけど、そんなちーちゃん、



自分も嗅がれてる。(尻)



グッドスメル!


 

 
おなかいっっぱい食べて



水がふがふ飲んで



やっとひと心地こっちゃん。



心配したよ。

無事帰ってこれてよかったよ。

もうでてったりしないでね。



ンフフ。



聞く気ねえなこの野郎。



れんね登場。

まだ嗅ぎ足りない。



くんくん。



くんくん。



・・・もうヤメテ。



今日はじめてこっちゃんのしおらしい姿見たわ。


 

 

 
いつもと違うことがあって、神経使ったらしい猫たちはお疲れさんのご様子。



爆睡。



爆睡。



無事に一日終われて本当によかった。

大丈夫だ大丈夫だと思ってても、最悪な瞬間が何度も頭によぎった。

脱走は怖い。

気をつけてたつもりなのに、全然足りなかった。

何事もなかったのは、運がよかっただけだろう。

無事帰ってきてくれて、本当によかった。


 

 

 
で。
このモンプチの山どうすんの。