ある日のはなは、恐ろしく暇だった。
暇なので、いつもより熱心にネットサーフィンをやった。
普段巡回しないところまで掘り下げて掘り下げて、ひたすらリンクを辿っていった。
そして。
そこで、運命の出会いをした。


それは、
ライオンのたてがみのかぶりものをした可愛い猫の写真だった。


茶トラの猫が、ライオンのたてがみのかぶりものを風になびかせているその写真は、そりゃもうびっくりするほど可愛かった。
なにそれうちの猫と同じ生き物?ってくらい可愛かった。
もしかして、そのライオンのたてがみのかぶりものさえあれば、うちの子もすごく可愛くなるのかもしれんと思った。


やっと見つけた通販は、樋口さん1人+異国の地からの送り賃がかかった。
さすがにそれは頑張れない。
だってうちは貧乏子沢山大家族スペシャル。
じゃあ、しょうがねえ。
作るか!

 

 

 
というわけで、完成品がこちら。

材料は、切り売りのフェイクファー生地と耳部分のフェルトと中身の綿ちょっと。
1000円もかかってないくらい。

猫の頭をはなの膝小僧で代用。
はなのスウェットはいつも穴だらけ。


いつの時代の家庭科の成績もそりゃもうひどいもんだったはなに裁縫技術は残念ながらないので、ママンが遊びに来た日を狙って作成依頼。
あーでもないこーでもないと試行錯誤しながらでも、2時間くらいで完成した。
額に当たる側の生地を折り返して縫い、フェルトで耳を作り綿を詰め、ファー生地に縫いつける。
顎部分は、これといったのが思いつかず、長めに残してマジックテープでくっつけることに。


ファー生地切るのをはながやったら毛まで切ったとか。
耳の縫い合わせをはながやったら白い糸使っちゃったとか。
マジックテープ超くっつかねえとか。
ちょいちょいミスはあったけれど、とりあえず完成。


さあ、可愛い我が家のライオンたちよ!
いざ参らん!




・・・イヤソウデスネ。

顔のつくりのせいかしら。
ライオン感ゼロ。

意味もなく金髪碧眼。
嫌がって動くから、
前髪が横に流れてパンタロンはいてフォークギター弾いてた世代ヘアに。


うん、似合わねえ。


次!



デコ出過ぎ。

アルフィーにいそう。

期待したホワイトライオン感ゼロ。


うん、コレじゃねえ。


次!



天使にラブソングをに出てた?

映える金髪。

無駄に色っぽい。
艶っぽい。
生々しい。


でも、欲しいのはそれじゃねえ。


次!



丸。

ポンデライオン。


でも、それ偽ライオン。


次!



金髪が不自然。
そもそもたてがみって色重いよね?
茶トラの毛並みでさえ違和感感じるこの配色。(今頃気づくな)

少年漫画の主人公にいそうな髪型。
サッカーやっててMFで「ボールは友達」って言っちゃう感じの。


はい、大空翼。


最後!



フードかぶってる子供。

顎が浮いちゃうからグッとおさえて、

仙人登場。
そんなのないのに、背景に滝と雲が見えるようだよ。
風もないのにファー毛が同じ方向に流れてるよ。
最終兵器の必殺奥義とか教えてくれちゃいそうだよ。


もう、その奥義ください。



 

 
結果:惨敗。


これ以上ないほどの敗北。
一番のミスは、ファー生地の色。
もっと濃いめのオレンジ系じゃないとダメ。
それに、耳が後ろにつきすぎてて、相当上から見ないと見えない。
耳なかったら何かわからん。
耳の重要度めっちゃ高い。
だから、


うちの子が可愛くなかったんじゃないかとかいう意見は全然聞こえない。(アーアー)

 

 

 


次に向けての課題いっぱいやなあと思いつつ、製作者であるママンにそのことを伝え忘れていた、夕べ。
そのママンからメールが来た。


ピロリン♪
「本文:あとは顎の工夫です。」





・・・ムッシュかまやつキタコレ。


そういや、自分も作ると残りの材料を持って帰ったのを忘れてた。
かぶされてるふうたも、かぶされてるものも、とりあえずひでえ笑
素直に「ひどいね笑」とかえしたら、すぐに返事が来た。


ピロリン♪
「本文:うさぎがライオンに」





なってねえ。


腹筋崩壊。
それはアカン笑笑。
夜中に笑かすなバカママン。


そもそも、そのママンの手作りうさぎ、

通常時でさえうさぎじゃないしね?


そんなママンの趣味は、若いころからずっと一貫して“洋裁”です。
技術はあるのよ。
知識もあるのよ。
道具もいっぱい揃ってるの。


でもちょっとセンスだけがないの。